クラウド労務管理コラム

2020/07/31

労働基準法の改正内容を紹介|36協定の変更も要注意!

労働基準法の改正内容を紹介|36協定の変更も要注意!

労働者の権利を守るために定められた労働基準法は、時代の流れや世の中の情勢を反映して改正されることも多い法律です。
働き方改革が推進される中、労働基準法が約10年ぶりに改正され、2019年4月から、2020年4月からといったように段階的に施行されました。

出典:厚生労働省「働き方改革関連法のあらまし(改正労働基準法編)

では、働き方改革に基づく労働基準法の改正内容とは、一体どのようなものなのでしょうか。
当記事では、労働基準法の改正内容や36協定の変更点について解説します。労務管理を効率化する方法も併せて確認し、労働基準法に違反しない職場を作りましょう。

この記事の目次
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1.労働基準法の改正内容

労働基準法は、労働者の労働時間や時間外労働、休暇などについて定めている法律であり、時世に合わせて法改正が行われてきました。最近では、政府が推進する働き方改革に伴って2018年に改正され、2019年4月から段階的に施行されています。事業者は新しい労働基準法に則した労務管理を行わなければなりません。

ここでは、2019年4月に施行された労働基準法の改正内容について解説します。改正内容を把握し、勤怠管理を含む労務管理を一層注意して行いましょう。

1-1.有給休暇の取得が義務化

厚生労働省「平成31年就労条件総合調査」によると、有給休暇取得率は近年上昇傾向にあります。しかし、日本における2018年の有給休暇取得率は52.4%となっており、諸外国と比べると圧倒的に低い水準です。

出典:厚生労働省「平成31年就労条件総合調査

有給休暇取得率をグローバル水準に引き上げ、労働者の生活の質を改善するために、有給休暇の取得を促進する環境整備が課題とされてきました。

2019年4月に施行された改正後の労働基準法では、有給休暇取得の義務化が規定されています。年間10日以上の有給休暇が付与されている場合、事業主は労働者に対し、1年間に5日以上の年次有給休暇を取得させなければなりません。
出典:厚生労働省「働き方改革関連法のあらまし(改正労働基準法編)

労働者が年に5日以上の有給休暇の申請を行わなかった場合、企業側は時季を指定して有給休暇を付与することができます。ただし、労働者の取得希望日をヒアリングしたうえで、取得時季を指定する必要があります。まずは各社員の有給休暇の取得状況をきちんと把握することが大切です。

1-2.時間外労働の上限規制

2019年の法改正以前では、企業と労働者との間で「36協定」を結べば、月45時間・年360時間以内の時間外労働が可能でした。さらに、時間外労働の上限が撤廃される「特別条項付き36協定」という制度もあります。

出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

このように、労働者との契約内容によっては、上限なしの時間外労働を課すことも可能であり、行政指導が入ることはあっても罰則はありませんでした。

2019年4月から施行された改正後の労働基準法では、時間外労働の罰則付き上限が設けられ、原則として月45時間・年360時間を上限とすることが定められました。特別な理由があって原則的な上限規定を超える残業をお願いする場合でも、次のような制限を超えることは禁止されています。

■原則的な上限を超える場合の時間外労働における法的な上限

  • ①年720時間以内
  • ②月100時間未満・複数月の平均が月80時間以内(休日労働を含む)
  • ③時間外労働が45時間以上となる月が年間6か月以内

出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

改正後の時間外労働の上限規制に違反すると、6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科されます。法律違反を未然に防ぎ、社員の不調を防止するためにも、社員の勤務状況を一度見直し、労働時間を計算する必要があるでしょう。

1-3.高度プロフェッショナル制度

「高度プロフェッショナル制度」は、労働基準法改正によって導入された新制度です。高度プロフェッショナル制度は、残業時間の制限を除外し、労働時間に縛られない制度ですが、職業や従事している業務が特定の範囲に限定されています。

■高度プロフェッショナル制度の概要

  • 【対象者・対象業務】
  • ・新規の技術・商品の研究開発業務など、高い専門知識・スキルが必要で、労働時間と仕事の成果との関連性が高くない業務に従事している方
  • ・年収が労働者の平均給与額の3倍を大きく上回る方(想定年収額:1,075万円以上)
  • ・高度プロフェッショナル制度を適用することに同意した方

  • 【制度の概要】
  • ・労働基準法で設定されている時間外労働の上限の適用外・対象外とする
  • ・時間外労働手当(残業代)・休日勤務手当・深夜勤務手当といった割増賃金・手当を支払う義務の適用外・対象外とする

出典:厚生労働省「高度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説

高度プロフェッショナル制度が適用された社員は、成果が出れば短時間の労働で済むこともありますが、場合によっては賃金に見合わない長時間労働となってしまう場合もあります。
雇用者は、「年104日以上の休日取得」「勤務間インターバル」「健康診断」などの対策(健康確保措置)を講じる義務を忘れないようにしましょう。

2.36協定の変更に注意が必要

ここまで、労働基準法の改正に伴い、時間外労働の罰則付き上限が定められ、従来の36協定や特別条項付き36協定の内容が変更になったことを説明しました。

36協定および特別条項付き36協定は、企業側と雇用されている労働者側が合意することで締結されます。合意が得られた後は、労働基準監督署長に36協定を結んだことを届け出なければなりません。

時間外労働の罰則付き上限が導入された後も、時間外労働に関する労使協定を締結したことを労働基準監督署長に報告しなければなりません。時間外労働の罰則付き上限が導入されたことで、36協定・特別条項付き36協定の届出様式も変更されているため、注意が必要です。

■36協定の届出様式の変更点

改善前

特別条項を付けるかどうかにかかわらず、「第9号」という様式を1枚使用

改正後

・原則的な上限(月45時間・年360時間)を超えずに時間外労働を行う場合
→一般条項が記載された「様式第9号」を1枚提出
・原則的な上限を超えて時間外労働を行う場合
→「様式第9号」に加えて、特別条項に関して記載するための、「様式第9号の2」を提出(計2枚の提出となる)

 

出典:厚生労働省「時間外労働の限度に関する基準
出典:厚生労働省「36協定届の記載例(特別条項)(様式第9号の2(第16条第1項関係)

新しい36協定で提出しなければならない書類は、厚生労働省のサイトに掲載されています。記載例も参考にしながら、適切に対応して下さい。

2-1.新様式記入時の注意点

新しい36協定では、特別条項について記載する「様式第9号の2」の内容が従来と比べて大きく変更されています。新様式に記入する際には、次のような点に注意しましょう。

■新36協定様式に記入する際の注意点

  • ①時間外労働の時間が増える理由を具体的に記入する
  • クレームの発生や業務上のトラブルを解消するために、時間外労働が増える場合もあるでしょう。一時的に時間外労働が増加する可能性がある場合は、残業時間が増える理由を具体的に記入する必要があります。
    「業務上必要とされる場合」「繁忙期」といった不明瞭な理由ではなく、「納期が差し迫った場合」など、明確な理由を書いて提出しましょう。

  • ②健康・福祉措置を具体的に記入する
  • 原則的な上限を超えて働く労働者に対し、どのような健康・福祉措置を行うかを詳細に記述しなければなりません。書類裏面にある項目から最低1項目は採用し、会社が実施する健康管理の具体的な方法を書き入れましょう。
    申告した措置が形式的なものにならないよう、指針やガイドラインを作成し、環境を整えておくことも大切です。

3.労務関連の業務はDirectHRで効率化しよう

2019年4月から段階的に施行された労働基準法の改正では、有給休暇や時間外労働など、労働者の働き方や企業運営のしかたが大きく変更されました。これに伴い、労務管理の重要性がさらに高まり、労務管理業務を軽減する対策が求められています。

労務管理に関連する業務の効率化を図りたい企業には、「DirectHR」の導入がおすすめです。DirectHRのシステムを利用すれば、入退社手続きや報酬月額変更手続き、年休や育児休業の取得といった一連の労務関連業務を行うことができます。クラウド上で一元的に管理できるため、業務改善が期待できるでしょう。

従業員がパソコンやスマホで労務に関する情報をWeb上で収集・記録できることや、市役所などへの書類の電子申請にも対応している点も、DirectHRを利用するメリットです。
DirectHRを導入して効率的な労務管理に取り組み、法律に則った職場作りを行いましょう。

4.まとめ

労働基準法が改正され、有給休暇の取得義務や時間外労働の制限、高度プロフェッショナル制度の設立など、新しい基準や制度が導入されました。新しい労働基準法の制定に伴い、提出すべき書類の様式も変更されているため、記入する際には注意しましょう。

労働基準法改正を1つの機会として、労務管理業務を効率化したいと考えている方は、勤怠管理業務などの労務関連情報を一元的に管理できる「DirectHR」の運用がおすすめです。担当者の負担を軽減し、法律に反することがないように労務管理を行いたい方は、ぜひ導入を検討してみてください。

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