クラウド労務管理コラム

2020/04/27

雇用契約書とは|作成方法から注意すべき点まで解説

雇用契約書とは|作成方法から注意すべき点まで解説

雇用契約書は、従業員を雇用する際に準備する書類の1つです。この雇用契約書の発行は、法的に義務付けられているわけではありません。

しかし、本当に発行しなくてもいいのかどうか、迷っている人事や総務の人も少なくありません。

そこで今回は、雇用契約書について解説します。作成方法から注意すべき点までを解説するため、雇用契約書のことを詳しく知りたい人は参考にしてください。

この記事の目次
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1.雇用契約書と労働条件通知書との違い

企業が従業員を雇用するときは、従業員の労働に対して給与の支払いを約束する契約を結ばなければなりません。このことは、労働基準法でも定められています。

雇用時の契約内容は、雇用契約書や労働条件通知書といった書類を用いて、書面で明示することが必要です。

ここでは、雇用契約書と労働条件通知書の詳しい内容などを解説します。

1-1.雇用契約書

「雇用契約書」とは、企業と労働者が雇用契約を結ぶ際に交わす契約書のことです。雇用契約書は2部作成し、企業と労働者のそれぞれが署名・捺印(押印)をして、各々1部ずつ保管します。

雇用契約は民法第623条を根拠とする契約です。しかし、雇用契約は口約束でも契約が成立するため、必ずしも雇用契約書という形で書類を発行する必要もありません。詳細な労働条件は、「労働条件通知書」によって従業員に通知されることとなります。
しかし、労働条件通知書は、雇用主から従業員に対して一方的に通知されるものです。労使間で認識の違いがあると、トラブルに発展することもあります。

雇用契約書は企業と従業員のそれぞれが条件を確認し、納得した上で記名押印する書類です。トラブルを防ぐためにも、お互いの同意契約であることを示す雇用契約書を作成することが望ましいでしょう。

1-2.労働条件通知書

雇用契約書と異なり、「労働条件通知書」は、法律上の交付義務があります。労働条件通知書とは、労働者を雇用する際に明示しておかなければならない事項をまとめた書類です。

企業と労働者、双方の合意によって成立する雇用契約書とは異なり、労働条件通知書は企業から従業員に対し一方的に通知します。労働条件通知書を交付しなければ労働基準法違反などの法律違反となり、30万円以下の罰金といった罰則が事業者に科されることもあるため、注意しましょう。

労働条件通知書の様式(テンプレート)は厚生労働省のサイトにも見本が掲載されています。例を参考にし、労働条件通知書は必ず作成するようにしましょう。

引用:厚生労働省「労働条件通知書」

1-3.労働条件通知書兼雇用契約書

雇用契約書と労働条件通知書には異なる点が複数あるものの、どちらも労働条件についてまとめた書類です。そのため、発行義務のある労働条件通知書と、トラブル防止のための雇用契約書の両方を発行する場合、内容が重複することとなります。
このような現状から、「労働条件通知書兼雇用契約書」として、2種類の書類を合わせて作成するケースも珍しくありません。

2.雇用契約書の作成方法

雇用契約書を作成する場合、記載内容は法律に則ったものである必要があります。雇用契約書を作成する場合は、労働基準法の第15条に基づき、労働者に明示する条件を記載しましょう。

  • 【労働基準法 第15条】
    使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

 

引用:電子政府の総合窓口e-Gov「労働基準法」

労働者に通知する労働条件には、書面での交付が必要な絶対的明示事項と、口頭の伝達で十分とする事項の2種類があります。

ここでは、雇用契約書に必ず記載しなければならない項目と、口頭説明でも差し支えない内容について解説します。

2-1.雇用契約書に記載するべき内容

雇用契約書に必ず記載しなければならない内容は、労働基準法施行規則第15条で定められています。次に挙げる事項は必須項目であるため、必ず書面に盛り込むようにしましょう。

  • ・労働の契約期
  • ・就業場所・勤務地や従事する業務内容
  • ・始業時刻や終業時刻(勤務時間)
  • ・所定の労働時間を超える労働の有無
  • ・休憩時間・休日・休暇
  • ・就業時点転換について(交代制勤務・シフト勤務の場合)
  • ・給料の決定方法・計算方法や支払い方法・締め日・給料日
  • ・解雇を含む退職

 

2-2.口頭で成り立つ契約内容

労働基準法施行規則第15条では、雇用契約書に記載すべき絶対的明示事項の他にも、労働者側に明示する必要のある事項が規定されています。以下の内容は、雇用契約書に記載する必要はありませんが、口頭で必ず伝えるようにしてください。

  • ・昇給に関すること
  • ・賞与に関すること
  • ・災害補償や業務外の病気・ケガに関すること
  • ・表彰/制裁に関すること


上記の内容は口頭で伝える場合でも法律上問題ありませんが、伝達漏れが心配な場合は、雇用契約書に記載することをおすすめします。

3.雇用契約書作成時の注意点

雇用契約書は、労働基準法などの法律に則って作成する必要がありますが、他にも注意すべき点があります。雇用契約書を作成するときの3つの注意点を解説します。

〇企業と従業員双方の署名捺印が必要である

雇用契約書は、企業と従業員の双方が書面に記載された労働条件に合意して、契約したことを証明する書類です。雇用契約書としての効力を発揮させるためには、企業と従業員の双方が署名・捺印する必要のあることに注意しましょう。

〇パート社員・アルバイトや契約社員、試用期間であっても雇用契約が必要である

「雇用」というと正社員(正職員)をイメージする人も少なくありません。しかし、実際はパート社員やアルバイト、契約社員なども経営者と雇用契約を結ぶ労働形態です。そのため、労働条件通知書を兼ねた雇用契約書を発行する場合、パート社員・アルバイト・契約社員といった非正規社員とも取り交わす必要があります。

契約期間が設けられた雇用契約の場合、雇用契約書には契約更新の有無や基準を記載してください。
また、試用期間の社員とも雇用契約が必要です。必ず雇用契約書などで、「試用期間の開始日および終了日」「試用期間中の給料」「正式採用しない可能性とその事由」などといった、労働条件の通知を行いましょう。

〇求人情報の記載内容と、雇用契約書の内容に相違がないことを確認する

求人票に法的効力はありませんが、求人票と雇用契約書で内容に大きな相違があると、従業員との間にトラブルを生むきっかけとなります。求人票と労働条件に違いがないかをきちんと確認してから、雇用契約書を作成するようにしましょう。

4.雇用契約書作成時の便利なシステム

労働条件通知書を兼ねた雇用契約書は書面で交付する義務がありますが、2019年4月より、メールやSNSといった方法で交付できるようになりました。対象労働者本人の希望があれば、書面として出力可能な形式・ツールを用いて、雇用契約書を電子交付することが可能です。

雇用契約書や労働条件通知書を電子化すると、人事労務管理の手間やコストを削減できる上に、個人情報の取り扱いが簡単になるといったメリットもあります。雇用契約書や労働条件通知書を作成できる電子化システム・ツールを上手に活用し、書類作成にかかる手間やコストを最大限カットしましょう。

電子化を取り入れる際には、様々な種類の電子申請に対応し、きちんとしたノウハウを持った高実績・高評価のシステムを導入することがおすすめです。Direct HRは、雇用契約書の電子化だけでなく、対象者の入社から退職までの有給休暇申請や勤怠管理、源泉徴収票の発行などの労務管理を一括して行えます。労働内容の変更があった場合もスムーズに対応可能です。

役所への電子申請・手続きにも幅広く対応しているため、労務関係の業務を大幅に削減できるでしょう。雇用契約書の電子化を検討している人事担当者・労務担当者の人は、DirectHRのサービスがおすすめです。

5.まとめ

ここまで、雇用契約書に関して、作成方法から注意すべき点までを含めて解説しました。

雇用契約書は必ず発行する必要もありません。しかし、発行義務のある労働条件通知書が企業側(会社側)から従業員・入社者への一方的な通知であることを考えると、取り交わしておくことが望ましいでしょう。

雇用契約書は、労働基準法などの法律に定められた明示義務をきちんと押さえて作成することが重要です。人事労務の業務が煩雑になることに悩む人事労務担当者の人は、Direct HRを利用した雇用契約書の電子化を検討することをおすすめします。

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